研究課題
前年に引き続き、シッフ塩基のコバルト二核、三核錯体の磁化率の温度依存性も調べ、コバルトの零磁場分裂による磁気挙動を観察した。二核コバルト錯体の磁化率の温度依存性の解析において、これまで単核常磁性不純物のせいにされてきた低温部の磁気挙動について、二核コバルト錯体の中性子回折実験によりコバルトの磁気異方性により引き起こされる可能性が見出された。六核コバルト錯体も単離され、強磁性的挙動が観測された。ジシアナミドを架橋配位子としたニッケル、銅錯体の磁性を調べた所、金属間が長くなるため磁気的相互作用が弱いこと、ニッケル錯体では磁気的相互作用よりもゼロ磁場分裂の影響が大きいことを見出した。第二遷移系列元素としてはルテニウムについて金属-金属結合を持つ安息香酸架橋二核錯体を多数合成し、これをクロロやシアナトで連結した鎖状錯体を多数合成し、長鎖アルキル基が磁性に及ぼす影響を調べ、ファスナー効果により反強磁性相互作用が強まる傾向を見出した。比較的大きな零磁場分裂と強い反強磁性的相互作用が見出された。この系は長鎖アルキル基の導入により液晶的性質も観測された。非シッフ塩基配位子を用いることにより希土類元素の新規錯体を幾つか合成し、磁気的挙動を調べた所、大きな磁気異方性の効果が観測された。カルボン酸ロジウム二核を種々の二座配位子で集積した錯体では、結晶構造に隙間を観測することができ、隙間の大きな錯体では窒素吸着能が観測された。これらの錯体は反磁性である。
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