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2008 年度 実績報告書

自己集積型錯体配位子による金属イオンの錯形成および溶媒抽出に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19550079
研究機関千葉大学

研究代表者

勝田 正一  千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40277273)

キーワード分離 / 自己集積錯体 / 大環状錯体 / 有機金属錯体 / 多核錯体 / リチウムイオン / 溶媒抽出 / イオン認識
研究概要

【1】2,3-dioxopyridine(pyO_2^<2->)を架橋配位子とする4種類の大環状三核ルテニウム錯体,[(1,2,3-trimethylbenzene)Ru(pyO_2)]_3(4),[(1,3,5-triethylbenzene)Ru(pyO_2)]_3(5),[(l,2,4,5-tetramethyl-benzene)Ru(pyO_2)]_3(6)及び[(hexamethylbenzene)Ru(pyO_2)]_3(7)を新たに合成し,これらの錯体のLi^+及びNa^+に対する溶媒抽出挙動(有機溶媒=CH_2C1_2,対イオン=ピクリン酸イオン)を平衡論的に評価した。また,昨年度合成した[ρ-cymene)Ru(pyO_2)]_3(1)や[(1,3,5-trimethylbenzene)Ru(py_2)]_3(3)とも比較し,Ruに結合するπ配位子の立体効果を考察した。5は,1や3と同様に,CH_2C1_2/H_2O系で安定であったが,7は非常に不安定であった。4と6はやや不安定で,徐々に分解が見られた。4,5,6について抽出平衡定数を決定した結果,Li+抽出能は4>6>3>1>5,Li^+/Na^+抽出選択能は3≒6>5≫4>1であることが示された。中心の3つの酸素原子(アルカリ金属イオンが結合する部分)をπ配位子のアルキル基が効果的に遮蔽することによって,Li^+に対する高い選択能が発揮されることを明らかにした。
【2】我々が合成した3は,これまでに報告されているあらゆるLi^+選択性イオノホアの中で,最も優れたLi^+抽出選択能を有する。そこで,3を用いて人工海水からのLi^+の抽出分離を検討した。海水にはLi^+の2万倍量(物質量比)のNa^+が存在するため,3を用いてもLi^+が定量的に抽出される条件では相当量のNa^+の共抽出が認められた。しかし,抽出後の有機相を純水と短時間振り混ぜることで,Na^+だけが水相へ定量的に逆抽出され,Li^+とNa^+をほぼ完全に分離できた。これは簡単な溶媒抽出法のみによって海水からLi^+を分離した最初の例として意義がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Selective Extraction of Lithium with a macrocyclic trinuclear complex of (1,3,5-trimethylbenzene)ruthenium(II)bridged by 2,3-dioxopyridine2008

    • 著者名/発表者名
      Shoichi katsuta
    • 雑誌名

      Analytical Sciences 24

      ページ: 1215-1217

    • 査読あり
  • [学会発表] 2,3-ジオキソピリジンを架橋配位子とする大環状アレーンルテニウム(II)三核錯体のリチウムイオン抽出選択能:アレーン配位子の構造の影響2009

    • 著者名/発表者名
      勝田正一
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学理工学部船橋キャンパス
    • 年月日
      2009-03-27

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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