研究概要 |
液状イオン会合体の高濃縮抽出溶媒としての評価 イオン会合体の種類を変え,対象物質の分配定数(log K_d)を求め,疎水性の尺度であるオクタノール/水分配定数K_<ow>と比較することにより抽出能を調べた。 有機陰イオンの検討と抽出能:イオン会合体を構成する有機陽イオンをベンゼトニウムイオン(Ben^+)と固定し,有機陰イオンをフェノールスルホン酸イオン(PS^-),トルエンスルホン酸イオン(TS^-),エチルベンゼンスルホン酸イオン,2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸イオンと変えた。対象物質をエストロゲンであるエストロン(El),エストラジオール(E2),エチニルエストラジオール(EE2)とし,分配定数を求めた。イオン会合体Ben^+・PS^-とBen^+・TS^-の抽出能は,エストロゲンの疎水性(K_<ow>)が大きいほど高く,オクタノールよりも抽出能が高かった。エストロゲンの場合,疎水性の小さい有機陰イオンから成るイオン会合体ほど,抽出能が高いことが分かった。有機陽イオンの検討と抽出能:有機陰イオンをPS^-と固定し,有機陽イオンをBen^+,ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムイオン,ベンジルジメチルドデシルアンモニウムイオンと変え,対象物質の分配定数を求めたところ,有機陰イオンを変えたときほど差はなかった。 液状イオン会合体の環境分析への応用本濃縮法を応用し,環境水のサブμg/Lレベルのニッケル、サブμg/Lレベルのパラジウムの高濃縮/黒鉛炉原子吸光光度定量法を開発した。成果の一部を,日本分析化学会第56年会(2007年9月19日〜21日,徳島大学),第26回分析化学中部夏期セミナー(2007年9月8日-9日、大山研修センター)においても発表した。
|