超高性能のHILIC型、WCX型、WAX型の修飾を施したカラムを調製した。基材となるシリカモノリスの性能向上と、(1)の修飾方法の改良によって、理論段高5-10ミクロンの極性化合物分離カラムを調製する。それぞれについて理論段数5~10万段のカラムを調製すると計画したが、長いカラムを製作することはできなかった。反面、理論段高10ミクロンを下回る高性能イオン交換型カラムの調製と評価に成功し、J.Chromatogr.Aに投稿、掲載された。また、ホスホニウム塩を修飾した「弱い」アニオン交換型カラムを調製し、従来保持が大きく分離時間がかかっていた化合物を、より短時間で分離することを可能にした。これについて投稿準備中である。 マイクロHPLC系で未修飾糖検出法を検討した。糖類は大きい紫外可視吸収を持たないため、通常誘導体化して紫外可視検出器で検出される。将来の精密分離、糖の定量を視野に入れると、誘導体化なしに分離・定量することが望ましい。従来マイクロHPLCの検出系は紫外可視検出に限られて来たので、電気化学検出法を導入することにより、両者の検出性能の比較を検討した。電気化学検出法は、カラム分離後に、溶出体積の30%もの水酸化リチウム水溶液を混和して検出するため、総合的な分離性能は決して高くなかったが、それでも7分の分離時間でピークキャパシティ24が実現でき、より長いHILIC型カラムを用いた高性能分離の可能性が示された。 ボロン酸修飾型カラムを調製し、多次元分離の基礎的技術とした。糖のジオール構造を認識する分子素子として、ボロン酸の利用が古くから検討されて来ており、様々な知見が蓄積されている。ボロン酸を含むメタクリレートモノマーなどを合成、シリカモノリスにポリマーコートすることで、糖鎖と非常に大きい相互作用をすると予測される分離媒体を調製した。
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