研究概要 |
チタンアルコキシド[Ti(OR)_4]と金属Mg粉末が少量のハロゲン源[Me_3SiC1やMgBr2など]の存在下で反応し、低原子価チタン反応剤を温和に発生すること、および、この反応剤によって種々の結合生成反応や結合解裂反応が進行することを見いだした。(i)アリルエーテル、プロパルギルエーテルが切断され対応するアルコールを収率良く与え、反応の高い官能基選択性は脱保護法として期待できる。(ii)アルキンの分子間、分子内[2+2+2]型環化付加反応の触媒として機能し、置換ベンゼンの合成法として期待できる。(iii)室温付近で均一系として使用できるMcMurry反応剤となることを見いだした。(iv)イミンの1,2-ジアミンへの還元的二量化剤として機能し、特に脂肪族イミンでも反応が進行する点で合成法として興味深い。(v)エポキシドのC-O結合をラジカル的に解裂し、より級数の少ないアルコールを与えた。(vi)エポキシドの解裂で生じるラジカルによってアルケンとの分子内環化反応が進行した。(vii)オキセタンをラジカル解裂することを見いだした。これらエポキシドオキセタンとの反応では、シクロペンタジエニル(Cp)基を持たないチタン種での初めての例である点で学術的に興味深いと思われる。
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