研究概要 |
20年度は、19年度に達成したテトラフェニルビアセナフチルビスホスフィン配位子合成に加え、フェニル基のパラ位にブロモ基、トリフルオロメチル基を導入した誘導体の合成に成功した。特に、4-ブロモフェニル基を有したビアセナフチルビスホスフィンオキシドは、クロスカップリング反応により、さらなる誘導化が可能になることから、興味深い展開が期待できる。一方、アセナフチル骨格合成を検討時、用いる末端アセチレン誘導体の反応量をコントロールすることにより、アセチレンが2分子挿入して得られたオクタフェニルビフェナントレンビスホスフィンオキシドが得られた。具体的には、炭酸銀(91.0mg, 0.18mmol)、ジヨードBINAPジオキシド(80mg, 0.088mmol)、ジフェニルアセチレン(31.4mg, 0.18mmol)、酢酸パラジウム(3.7mg, 0.009mmol)、トリ(2-フリル)ホスフィン(11.5mg, 0.026mmol)をDMF(5.3ml)に溶かし5時間撹拌した。撹拌後DMFを減圧除去し粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)とリサイクルHPLCにより精製し(R)-ビス[(ジフェニル(5,6,7,8-テトラフェニルフェナントレン-2-イル)ジフェニルホスフィンオキシド]を得た。このフェナントレン誘導体は、質量分析の結果HRMS-FAB (m/z) calcd for C_<100>H_<68>O_2P_2(M+H^+)1363.4773, found 1363.4762と決定された。また、比旋光度は、+417.7°(c 0.50, benzene)と極めて大きい値を示した。
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