研究概要 |
申請者らが新規に開発した,アニオンリビング重合法に基づく繰り返し法による末端官能基導入法を適用することで,鎖末端に高反応性のベンジルブロミド基を2, 4, 8個導入したポリスチレン(PS-Br_n)の精密合成を行った.続いて,1-(4-N, N-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニルエチレンとsec-ブチルリチウムとの反応によって官能基化1,1-ジフェニルアルキルアニオンを調製し,これをPS-Br_nと反応させることで,鎖末端に2, 4, 8個のジメチルアミノ基を有するポリスチレン(PS-AM_n)の合成を行った.SEC,およびNMR測定による構造解析の結果,得られたポリマーはいずれも設計通りの分子量と狭い分子量分布を有しており,ジメチルアミノ基が定量的に導入されていることが明らかとなった.したがって,目的とする一連のPS-AM_nの精密合成に初めて成功した. これらの結果は,次に示す二つの点において重要な意義を持っている.まず第一に,繰り返し法による末端官能基導入法を拡張することで,ベンジルブロミド基のみならず種々の官能基導入が可能であることが示された.第二に,アニオンリビング重合法が従来の高分子合成法の概念をこえて本質的に優れており,新たな機能性ポリマー合成の発展に相応しいことがあらためて示された.
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