研究概要 |
本研究では,外部刺激による結晶構造変化を分子動力学(MD)シミュレーションによって再現し,それによって引き起こされる結晶内微小空間の構造変化を定量的に解析する。さらに,ゲスト分子が感じるポテンシャル場が,結晶内微小空間の変化によってどのように変化するかを,MD法,および,量子化学計算により解明する。人為的に結晶構造を変化させることにより微小空間の構造変化を誘起することができれば,結晶内微小空間の機能性を自在にコントロールすることが可能になる。これを実現するためには,どのような外的要因の変化を与えれば,どのような微小空間におけるポテンシャル場の変化が生ずるかを,分子レベルから定量的に解析する必要がある。本研究は,この関係を明らかにするものであり,結晶内微小空間の機能材料としての応用の道を拓くものである。 今年度は,シンジオタクチックポリスチレン(s-PS),およびシンジオタクチックポリメチルスチレン(s-PMS)の包接結晶を対象としてシミュレーションを進め,結晶内微小空間の大きさ,形,結合性を定量化した。クラスター解析を行うことにより,結晶内微小空間の結合性を計算した。また,応力により結晶構造の変化を誘起させ,それに伴う結晶内微小空間の形状,大きさ,および,結合性の変化を定量的に解析した。さらに,ゲスト分子が包接されることによる結晶構造の変化についても解析した。特に,s-PMS/THF系の包接結晶膜が比較的大きなキャビティーを有し,かつ,結晶の安定性も高いことが予測された。
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