アミド基、フェノール性水酸基、カテコール部位等を有する大環状化合物、非環状化合物がタンデムクライゼン転位を利用して収率よく合成することができた。特に、アミドクラウノファンと呼ばれる大環状化合物は特殊な実験条件を用いることなく、収率よく合成できる方法を乱すことが出来、種々のゲスト分子に対する認織能を持つ化合物を合成することが可能となった。また、アミドクラウノファンが水素化ボロンナトリウムとの反応で定量的にボロン錯体を精製すること、そのボロン錯体は強い蛍光発光を示すことなどを明らかにすることが出来た。 一方、非環状型の三脚型配位子を合成し、タンデムクライゼン転位により複数の水酸基を有する化合物の合成を行うことができた。これらは3価、4価の金属イオンに対して錯形成能を示すことがわかり、クリプタンド型の新規な金属錯体の合成を行うことができた。これらについては、さらに分子認識能等の検討を開始しており、3次元構造体の中にゲスト分子が包接されることがわかってきた。 ボロン錯体については、これまで、類似した化合物で報告例はなく、発光体となることで、今後種々の合成を行う中で、発光挙動の異なる化合物が見つかるものと期待される。非環状三脚型化合物においても、水酸基やアミド基により、金属イオンやアニオンに対して、捕捉能が期待され、希土類などとの錯体形成等により興味深い物性の発現できればその意義は大きい。
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