研究概要 |
均一細孔径分布(〓3nm)をもつメソポーラスTiO_2へN,C,Sドープ合成を実施した。前駆体にはアンモニア,尿素,およびチオ尿素を,テンプレートにはドデシルアミンを用いた。ドープによるバンドギャップ縮小を評価するため,これまでVドープによる導電帯付近の不純物準位と可視光励起触媒作用を調べてきた,エタノール酸化反応を行なった。NおよびCドープを試みた合成試料では,むしろドープ無メソポーラスTiO_2よりも不活性であった。対して,S/Ti=1/1で硫黄ドープした合成試料では,メソポーラスV-TiO_2(V/Ti=1/21)の2.8倍の速度でアセトアルデヒドと水を生成した。TiK端pre-edgeピークのエネルギー分裂幅と強度比より,メソポーラスTiO_2,メソポーラスS-TiO_2,メソポーラスV-TiO_2いずれもアモルファス構造であり,同様の低配位数Ti配位環境(N(Ti-O)=4〜5)を示した。ドープ硫黄は4+あるいは6+としてアモルファスTiO_2中酸素サイトを置換して,不純物準位を形成して可視光励起触媒作用を発現した,と考察した。光触媒反応後の試料についてTiK端XAFSスペクトルを測定すると反応前と変化は認められず,低配位数Ti配位環境は反応中も安定して存在することが分かった。 メソポーラスV-TiO_2の可視光励起エタノール酸化脱水素反応の総括として,エタノール中可視光照射条件でVKβ_5,2選択VK端XANESスペクトルを測定し,吸着工トシキル種の脱水素脱離過程が律速的であることを見出し,アモルファスTiO_2中Tiサイトを置換した不飽和V種がO_2を特異的に活性化することによる素過程速度のバランスを解明した。
|