研究概要 |
電子伝導によらない情報伝達機能を有するデバイス構築を目指し、新規情報伝達素子の合成を試みた。新規情報伝達素子は、(1)近接位に固定された電気化学的に可逆で化学的に安定なレドックス中心を有し、(2)隣接分子のクーロン相互作用により電荷のトンネルが可能なレドックス中心間の強いカップリングを有するが(3)二つのレドックス中心が、異なった電荷を持つ(金属錯体での混合原子価)状態を実現する必要があると考えられる。そこで、レドックス中心としてテトラチアフルバレノチオキノン(あるいはキノン)-1,3-ジチオールメチド骨格を、これらを直交配向させるためにhalogen-bondingを用いた。結晶構造解析とDFT計算より、4、5位にヨード基の置換したテトラチアフルバレノチオキノン-1,3-ジチオールメチド誘導体で、結晶中、レッドクス部位を直交配向することが明らかとなった。
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