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芳香族間π-π相互作用および疎水性相互作用が同時に機能するモデルにおけるゲスト分子として、芳香族官能基としてインドール環および疎水性基としてt-ブチル基を有するトリプトフナン誘導体を対象とする。これら部分構造を識別してそれぞれと特異的に相互作用する部分を兼ね備えるホストとして、ナフチル基によって化学修飾されたシクロデキストリン誘導体をデザインし、有機化学的手法によって合成した。それぞれの基単独の相互作用から予測すれば、インドール環とナフタレン環との間の"面"的π-π相互作用は、"点"による相互作用よりもはるかに合目的的な固定・認識を可能にする。そして、疎水性基であるt-ブチル基は、"キラル"なシクロデキストリン空洞に取り込まれる。加えて、ゲストとホストの間にはアミド結合間水素結合、双極子/双極子相互作用も生じうる。これらの合理的な多点相互作用の結果、"キラルな場"としてのホストによって厳密に認識される。そこでのキラル識別を精密カロリメトリーおよび種々の構造解析手法を駆使して解析した。加えて、上記の成果を踏まえて二つのナフチル基が形成する"剛直"な分子認識空間を有する類縁ホスト分子を合成した。今後、こうして個々の分子間相互作用の役割に摂動を加えることで分子認識現象を構成するそれぞれの素過程を考察するキラル認譲研究を行う。
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