研究概要 |
蛍光色素の合成 (1)3-アミノ1aおよび4-アミノ-1,8-ナフタルイミド1bと4-アミノ-フタルイミドのアミノ基をトリフルオロアセトアミド誘導体2として修飾し,新規蛍光色素を合成した. (2)4-アミノフタルイミドをポダンドで修飾し機能性フルオロフォア3を合成した. (3)6-アミノフタリドのアミノ基にピコリル基を導入し,遷移金属応答型蛍光センサー4を構築した. 機能性フルオロフォアの基礎的ケイ光特性および媒体応答性 (4)1は溶媒の水素結合受容性に応答して蛍光色を変え,マルチカラー特性を示すことを明らかにした.特に1aはアルコール中,単-クロモフォアとしては希な白色発光を示した. (5)3はソルバトフルオロクロミズム特性を保ち,溶媒の極性に応じて青色〜黄色まで蛍光色を変化させることを確認した. (6)4は水-アセトニトリル中で紫〜青色の蛍光を示した.4は媒体による蛍光色の変化は顕著ではなかったが,水系媒体中で高い蛍光効率を保っことを確認した. 機能性フルオロフォアのanalyteに対するケイ光応答性 (7)1はアセトニトリル中では金属イオンに応答しないが,DMSO中で金属イオンによってLewis酸性の強さに依存した蛍光消光の応答を示した.1は媒体とLewis酸性の両方に応答を示すマルチセンシング特性を持つことを示した. (8)2はフッ化物イオン添加で蛍光色が青から緑へと変化した.2は,ヨウ化物イオンの存在下,紫外光照射により青から緑への蛍光色変化を見いだした. (9)4は水系媒体中,銅イオンに選択的に応答し蛍光消光を示した.これはアミノフタリドを用いた最初の蛍光センサーの例となる. 以上の知見は蛍光センサー構築の新しい方法論を提案するものである.また,2のヨウ化物イオンへの光化学的応答は新しい現象なので,その機構を解明することは光化学反応の新たな展開に寄与する.2のヨウ化物イオンへの応答およびアミノフタリドの蛍光センサーは前例がないので,20年度もその詳細を検討する.
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