研究課題/領域番号 |
19550144
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田坂 明政 同志社大学, 理工学部, 教授 (90066275)
|
研究分担者 |
稲葉 稔 同志社大学, 理工学部, 教授 (80243046)
小原 真司 同志社大学, 財)高輝度光科学技術センター・利用研究捉進部門, 副主幹研究員 (90360833)
|
キーワード | フッ素系常温溶融塩 / カチオン種の種類 / カチオン種の対称性 / 電気伝導度 / 粘度 / フッ素化反応機構 / ペルフロオロトリメチルアミン |
研究概要 |
新たに(C_2H_5)_4NF・mHF(m=3.5〜5.0)および(C_2H_5)_3N・mHF(m=3.5〜5)を調製し、ACインピーダンス法と回転式粘度計を用いて、80〜100℃でそれらの電気伝導度測定および粘度を測定した。いずれの系においても、(CH_3)_4NF・mHF(m=3.5〜5.0)や(CH_3)_3N・mHF(m=3.5〜5.0)と同様に、温度の上昇およびm値の増加に伴い,電気伝導度は増加したが、粘度は減少する傾向が得られた。R_4NF・mHFとR_3N・mHFの電気伝導度やその活性化エネルギーの比較から、カチオンは、R_4^+やR_3NH^+であることが明らかになった。また、(CH_3)_4NF・mHFと(C_2H_5)_3N・mHFの電気伝導度および(CH_3)_3N・mHFと(C_2H_5)_3N・mHFの電気伝導度を比較すると、いずれも後者の方が低い値となっている。前者のカチオン(CH_3)_4N^+や(CH_3)_3NH^+と後者のカチオン(C_2H_5)_4N^+や(C_2H_5)_3NH^+とを比較すると、後者の方が大きなイオン半径を有しているため、溶融塩中でのカチオンの移動が妨げられたと考えられる。この結果は、研究の目的とする、イオンの対称性と電気伝導度に相関があることを明らかにしており、その学術的意義は大きい。 (1)ニッケル電極を用いて(CH_3)_3N・mHF(m=3.5〜5.0)+CsF・2.3HFの混合液を、(2)LiNiO_2被覆ニッケル電極を用いて(CH_3)_3N・mHF(m=3.5〜5.0)電解液を、(3)BDD電極を用いて(CH_3)_4NF・mHF(m=3.5〜5.0)電解液を電解した。いずれの場合も陽極生成ガスの成分は同じであったが、(3)の場合に(CF_3)_3Nの生成割合が最大であった。それは、電極表面上に電気伝導性とフッ素化能のあるCsNi_2F_6被膜が生成し、それが電極からの発熱を低下させてC-N結合の裂断を起こり難くするばかりでなく、電極近傍の解液中にある部分フッ素化物をさらにフッ素化して(CF_3)_3Nを生成するためと考えられる。これは、電極と電解液の組み合わせで起こる反応に違いがあることを意味しており、この結果は学術的にも重要である。
|