本研究の目的は、水素結合や分子間力相互作用を中心とする生体分子間の弱い相互作用を検出するための方法の確立と、弱い相互作用を利用したインテリジェントな分子認識表面の構築を行うことにある。2007 年度は主に認識分子と非特異吸着抑制分子混合膜によるタンパク質認識最適条件の探索についての研究を進め、2008 年度は、非特異的な吸着をより効率よく抑えるための分子設計とこの単分子層の持つ機能の評価、タンパク質認識の実証を中心に研究を進めた。認識部位を膜を構成する分子全体のうちの30%以下に押さえ、これを分散させることにより高感度タンパク認識が可能になることを見いだした。また認識分子以外の膜構成分子について、非特異吸着抑制効果を深く検討し、実際に認識膜構築の際に導入することで、従来の表面よりノイズ応答を低く抑えた検出が可能になることを確認した。
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