研究概要 |
微弱放射線の検出を目指し、放射線感受性を向上させるための必要条件(どのような高分子とジアリールエテンとの組み合わせが高感度に発色するか、どのような添加剤、無機蛍光体、有機蛍光体が有効か)を検討する。感度アップするための試みとして平成19年度にG値の高いことが認められたジアリールエテンについて溶液系、高分子媒体系について放射線感受性を検討した。溶液系ではすでに吸収線量校正に用いられているフリッケ線量計との比較検討を行った。放射線反応は試料の密度に比例する。高分子媒体として炭素系高分子に比較してより密度の高い材料としてケイ素を含む高分子であるポリシランへの添加を試みた。さらにポリビニールビフェニルに無機蛍光体を添加し、その増感効果を調べた。 1.赤色変化する1,2-ビス(2,5-ジメチル-3-チエニル)ペルフルオロシクロペンテン、青色変色する 1,2-ビス(2-メチル,5-フェニル-3-チエニル)ペルフルオロシクロペンテンをベンゼン、トルエンに溶解し、放射線感受性を検討した。いずれのジアリールエテンにおいても、ベンゼンよりトルエン溶媒での感度が高く、10Gyで着色した。この結果はフリッケ線量計が40Gyから吸収線量 が測定可能であることを考慮すると、ジアリールエテン線量計は感度が高く、線量計として有効であることが明らかとなった。 2.高分子媒体にポリシランを用いた糸では効果は認められなかった。 3.ジアリールエテンフィルム線量計をタングステン板、銅版を張りつけ、放射線感受性を検討した際、放射線感受性は増加した。
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