放射線で発色された色彩に基づく線量計は、放射線治療や放射線による滅菌の手段として広く用いられている。これまでの研究で開発されている化学変化に基づく線量計は、放射によって生じる酸か、ラジカルによって生じた反応で引き起こされた色変化に基づいている。別のタイプの線量計はジアセチレン誘導体を用いている。これらの線量計は広く用いられているが低い放射線感受性と保存安定性に欠けている。 フォトクロミック化合物の1種のジアリールエテン誘導体、1、2-ビス(2、3-ジメチル-5-チエニル)ペルフルオロシクロペンテンは、ガンマ線照射による放射線の検知が可能出ることを発見した。ジアリールエテン誘導体は保存安定性に優れると考えられる。本研究では、低い放射線感受性を有するジアリールエテン誘導体の開発を目的として研究を行った。具体的には、感度向上のために、色素とともに用いられる、溶媒中やポリスチレン、更にシロキサン誘導体を用いた場合の効果、それら媒体中で、放射線のエネルギー伝導に有効な蛍光性誘導体の添加に関する研究を行い、放射線照射に基づく発色性の解明を行った。ポリスチレン媒体中、ジアリールエテンとフルギド誘導体の-77℃による研究でラジカルイオンを通じて色彩が変化することが明らかになった。また、溶媒中の研究で蛍光性物質の添加は、放射線感受性を上げるために効果的であることが明らかになった。
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