研究概要 |
1アリルフェニルエーテル,1-デセン,3-オクテン2-オール,およびシクロオクテンの無溶媒エポキシ化反応に適した固体分散相として,アパタイト系粉体より安価なシリカ系粉体があることを見出した。固体分散相に適したシリカ粉体は,細孔が無く,反応基質の分散速度の速いことが必要である。かさ密度および粉体の反応基質による空隙飽和度は反応基質の分散速度に影響するが,粉体形状,粒子形および粒度分布は反応活性に影響しない。また7-タングステン酸塩触媒が高い反応活性を示すことを見出した。活性の高い触媒に共通するポリ酸塩触媒の骨格構造は二重結合性の酸素原子が2個配位した八面体サイトであり,この部位を多く持つポリ酸塩触媒が高活性である。ケギン型ヘテロポリ酸塩触媒およびこの欠損型ポリ酸塩触媒を合成し,その反応活性および反応生成物収率の経時変化から,活性サイトの構造を推察した。 2ベンジルアルコールの無溶媒脱水素酸化反応には固体分散相としてアパタイト系粉体,リンバナドモリブデン酸セチルピリジニウム触媒の組み合わせが適していた。ベンズアルデヒドから安息香酸への酸化反応を防止するためには,パイドロキシアパタイト粉体が適していることを見出した。 3水素化ホウ素を用いた水素化反応は無触媒で進行し,反応に要する水を適当量吸着するシリカ系粉体が適していることを見出した。常温常圧での無溶媒反応を進行させるために,大気中の水蒸気を利用することによって,環境負荷が小さい反応プロセスを構築できることを見出した。
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