研究概要 |
固体分散相(粉体分散媒)を用いた無溶媒反応システムは有害化学物質リスク削減技術として期待されている。 1アリルフェニルエーテル,およびシクロオクテンの無溶媒エポキシ化反応に適した触媒として,7-タングステン酸塩触媒が高い反応活性を示すことを見出し、この触媒群は対カチオンによって反応基質選択性を示す可能性を見出した。 2粉体分散媒と光触媒粉体の混合物上、酸素雰囲気下でのブラックライト照射によるシクロオクテンの光エポキシ化反応に応用した。TiO_2(AMT-100)光触媒とWakosil粉体分散媒を用いて10W-blacklight120時間照射によって2.25 mmol-cycloocteneからepoxycyclooctane収率19%,選択率20%が得られることを見出した。 3フルオロアパタイト上で尿素過酸化水素化合物とリンモリブデン酸テトラブチルアンモニウム触媒を用いて、スルフィドからスルホキサイドおよびスルホンへの新しい無溶媒酸化反応方法を開発してきた。光学活性スルホキシドの合成のために、この無溶媒反応システムに不斉源を導入したところ、不斉酸化反応が構築されることが示された。不斉源としてL-(+)アスコルビン酸はメチル4-トリルスルフィドに作用し、ポリ酸塩触媒への配向性を決定し、(R)-メチル4-トリルスルホキサイドを優先的に生成し、一方(1R,2R)-(-)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールは(R)-メチル4-トリルスルホキサイドに作用し、これを優先的にメチル4-トリルスルホンに酸化するために、(S)-メチル4-トリルスルホキサイドに富む結果となることを見出した。
|