21年度は主に(1)蛍光性の新しいポリデプシペプチド基材の合成と(2)モデル薬剤を含有させたポリデプシペプチド微粒子の作成と評価を行った。 (1)ポリデプシペプチドの合成 本研究では、蛍光色素としてダンシル基をを重合時の開始末端に導入することで、蛍光性の新しいデプシペプチドの作成を行った。末端基定量法により分子量はいずれも約1万程度になることがわかった。 (2)生分解性微粒子の作成 蛍光性の薪しいデプシペプチドを基材として用い、w/o/wエマルジョン法またはo/wエマルジョン法によりミクロスフェア微粒子を作成した。人工抗原のモデル物質として4残基ペプチドとLys残基の2種類を含有させた。それぞれのモデル物質にはC末へ1-aminopyreneを修飾して定量などに用いた。 (a)in vitro分解→PBS溶液中で微粒子の崩壊とモデル物質の放出を追跡した。 (b)微粒子中へのモデル物質の取り込みと相互作用→w/o/wエマルジョン法により作成されたミクロスフェア微粒子について、pyrene誘導体の蛍光寿命を測定した。o/wエマルジョン法の微粒子では封入率が低いために測定できなかった。w/o/wエマルジョン法の微粒子では未封入の4残基ペプチドpyrene誘導体3.9nsに比較してマイクロスフィア中のpyrene誘導体2.7nsという結果が得られた。同様にしてLys残基pyrene誘導体7.7nsに比較してマイクロスフィア中のpyrene誘導体3.6nsであった。よって内包されたpyrene誘導体の蛍光寿命の減少から、マイクロスフィア内ではpyrene誘導体からDNS基にFRETに相当するエネルギー移動が起きたためである。即ちpyrene誘導体とDNS基は分子レベルで隣接して存在しており、モデル薬物はマイクロスフィア内に封入されていることが蛍光寿命測定より明らかとなった。
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