加圧すると分子間距離を連続的に変化させることが出来る。また、酵素の活性部位は分子全体の中でも揺らぎが大きく圧力等の影響を受けやすいと考えられる。そこで単純に加圧する事によりアルコール脱水素酵素(ADH)を用いて基質特異性を制御できるかどうか調べた。その結果、ADHの種類により圧力応答は異なるがClass II では特徴的な結果が得られた。反応効率の圧力依存(0.1~150 MPa)からΔVを求めると基質をエタノールから炭素数を1つづつ増やしヘキサノールまで比較するとΔVはアルコールの炭素数の増加と共に直線的に減少しΔVの符号がブタノール付近で正から負に変化することが分かった。つまりエタノール等の小さなアルコールでは加圧と共に反応効率は下がるが、ヘキサノールのような大きなアルコールでは逆に反応効率は加圧により増加する事が明らかとなった。以上の結果から、加圧により基質特異性を制御できる可能性が示唆された。
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