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2008 年度 実績報告書

タイプ3銅含有タンパク質の酸素結合挙動の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19550169
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

廣田 俊  奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90283457)

キーワード銅タンパク質 / 酸素結合 / フラッシュフォトリシス法 / 銅複核部位 / 酸素結合速度
研究概要

節足動物や軟体動物の酸素貯蔵および運搬を担っているHcの多量体は、ヘモグロビン(Hb)のように酸素結合に対して協同作用を示す。また、HcはHbと同様、pHにより酸素親和性や協同性が変化するボーア効果を有する。Hcによる酸素分子の脱着は、pHなどの環境の違いによるボーア効果を利用して効率的に行われる。節足動物由来HcはpHや乳酸の影響を受けて酸素親和性や協同性を変化させるが、HcにおけるpHや乳酸の効果の詳しい作用機構は明らかにされていない。
Hcの紫外可視吸収スペクトルにおいて、乳酸添加による560nm付近の吸収帯の吸収極大波長はpH6.5、8.3いずれの場合も変化しなかった。この結果から、乳酸はoxyHcの活性部位構造に影響を与えないと推測された。次に、pH6.5において、乳酸濃度が約40mMになるまで乳酸の添加に伴いK_obsは増大したが、pH8.3では変化しなかった。この乳酸添加によるK_obsの増大量は、pHの上昇に伴い減少し、pH8.3ではほとんど変化しなかった。また、単量体CaeSS2では、乳酸添加によりK_obsは変化しなかった。次に、Hcと乳酸の相互作用をITCにより調べた結果、pH6.5とpH8.3で乳酸濃度約1mMで乳酸がHcに結合することが解った。pH6.5では高濃度の乳酸(〜20mM)添加により、さらに乳酸がHcに結合することが示唆された。低濃度の乳酸添加ではK_obsの変化は小さかったことから、この濃度での乳酸とHcの結合は酸素結合挙動に影響を与えず、pHが低いときのみ現れる高濃度領域での乳酸の結合が、K_obsの変化と関係していると解釈した。また、単量体CaeSS2は乳酸と結合しなかったことから、乳酸は四次構造変化を誘起することによりK_obsが増加すると推測された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Molecular Basis of the Bohr Effect in Arthropod Hemocyanin2008

    • 著者名/発表者名
      S. Hirota
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 283

      ページ: 31941-31948

    • 査読あり
  • [学会発表] 節足動物由来ヘモシアニンの酸素結合挙動にPHおよび乳酸が及ぼす影響に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      田中直輝
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] レーザーフラッシュフォトリシス法による節足動物由来ヘモシアニンのアロステリック効果の研究2008

    • 著者名/発表者名
      田中直輝, 廣田俊(他5名, 7番目)
    • 学会等名
      日本生物物理学会第46回年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2008-12-04
  • [学会発表] ヘモシアニンのアロステリック効果のレーザーフラッシュフオトリシス法による研究2008

    • 著者名/発表者名
      田中直輝
    • 学会等名
      第3回バイオ関連化学合同シンポジウム
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2008-09-20

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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