研究課題
今年度は、主に以下の3点について重要な成果を得た。1.内部にポテンシャル勾配を持つキノンプールの合成。キノンプール内部での電子移動をよりよく制御するため、異なる酸化還元電位を持つキノンを開発し、それらをキノンプール分子の特定の位置に結合させることに成功した。この際、異なるキノンの光反応を区別して追跡するため、キノン骨格にNMRハンドルとなるフッ素原子を導入した。得られたキノンプール分子は、複雑な骨格を持つにも関わらず、19F NMRで明確に異なるキノンを区別して観測することができた。2.二重機能化キノンプールへの展開に向けたポルフィリン・金属錯体結合化合物の合成。キノンプールの機能をさらに高度化させるため、ヒドロキノン・キノンの反応と共役して動作する金属錯体を合成し、ポルフィリン分子との複合化に成功した。ポルフィリンの酸化還元電位に応じて蛍光発光挙動の変化が見られ、新しい光酸化還元系を開発するための基礎的知識が得られた。3.直鎖状のキノンプール分子を新たに開発して合成した。この分子はオリゴベンズアミドの骨格を持っており、ダイナミック分子デバイスの構成要素としても活用できることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)
Chemistry, A European Journal 16
ページ: 4063-4074
Inorganic Chemistry 48
ページ: 8593-8602
http://licht.ims.ac.jp/