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2008 年度 実績報告書

自然免疫系を始動するリポ多糖分子と膜脂質との相互作用の固体NMRによる解析

研究課題

研究課題/領域番号 19550174
研究機関(財)サントリー生物有機科学研究所

研究代表者

三浦 薫 (野村 薫)  (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (90353515)

キーワード自然免疫 / リポ多糖 / 固体NMR法 / 脂質二重膜 / ラフト膜 / 運動性
研究概要

リポ多糖(LPS)は自然免疫系の代表的な鍵物質として最近注目されている。しかし、Toll様受容体がLPSを認識する際に、動物細胞側の細胞膜がどのような働きをしているのかどうかは未だに明らかではない。また、最近生体膜中のラフト領域がシグナル伝達のプラットホームとして注目されている。そこで我々は、自然免疫反応の際には、生体膜とLPSがどのように関わりあっているかを固体NMRにより明らかにした。まず、リン脂質であるphosphatidylethanolamine(PE)のみで構成されている二重膜や、リン脂質の他にスフィンゴミエリンやコレステロールを加えて作成した人工的なラフト膜の中での、Re型LPS(ReLPS)や膜脂質の運動性を固体NMRにより解析した。その結果、ReLPSの回転系におけるプロトンの縦緩和時間T_<1p>^Hは膜脂質に比べ約100倍長く、膜脂質に比べて非常に遅く動いていることがわかった。ReLPSが結合したPE二重膜では、膜脂質は結合していないものと比べると、動きの遅いReLPSにより運動が制限されていることがわかった。また、ラフト形成膜でもReLPSの運動性は遅かった。さらに、DEPEのカルボニル炭素の線形や化学シフトの値から、ラフト形成膜においてReLPSの存在がラフト領域を拡大することが明らかになった。ReLPSは自分自身が飽和したアシル鎖を6本も持っていることより、ReLPSの存在が脂質二重膜中の周りの膜脂質のアシル鎖のオールトランス構造を誘起する効果があると思われる。このように、ReLPSは周りの膜には影響を及ぼす一方、自分自身は周りの環境が変わろうとも同じペースで運動していた。自然免疫反応の際には、ReLPSが膜に挿入することにより、反応の場であるラフト領域を自ら拡大することで受容体であるTLR4との結合が容易になり、よりシグナルが伝達されやすくなっていることが考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Interaction of Lipopolysaccharide and Phospholipid in Mixed Membranes : Solid-State ^<31>P-NMR Spectroscopic and Microscopic Investigations2008

    • 著者名/発表者名
      K. Nomura, et al.
    • 雑誌名

      Biophysical Journal 95

      ページ: 1226-1238

    • 査読あり
  • [学会発表] 自然免疫の鍵物質LPSの膜中での振舞いを見る2008

    • 著者名/発表者名
      野村薫
    • 学会等名
      高分子学会 08-2NMR研究会
    • 発表場所
      京大会館(京都市)
    • 年月日
      2008-12-16
  • [学会発表] Interaction of lipopolysaccharide and phosphoolipid in mixed membranes : solid-state ^<31>P NMR spectroscopic and microscopic investigations2008

    • 著者名/発表者名
      Kaoru Nomura
    • 学会等名
      10th International Endotoxin and Innate Immunity Society (IEIIS) meeting
    • 発表場所
      エジンバラ(イギリス)
    • 年月日
      2008-07-31
  • [備考]

    • URL

      http://www.sunbor.or.jp

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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