有機官能基に結合したシリケートメソ構造体という範疇において、最大官能基密度を有する固体を合成した。すなわち、両親媒性分子およびその分子と結合する有機シランのみを用いて水熱合成すると、両親媒性分子の自己組織化能により有機シランが配置されるが、シランのSi-OR結合の加水分解により、その位置が固定されるため、この固体中の官能基密度はシラン分子中の有機基/シリコン比がそのまま反映される。この合成法によりシリケート単原子相と有機官能基層のサンドイッチ型固体が生成したことをX線回折法、窒素吸着法、固体核磁気共鳴、赤外分光法、元素分析などの危機分析法により明らかにした。シラン中の官能基数を1から2、シリコン/官能基量論を0-1、および両親媒性分子中の官能基数を1から2の範囲で変え、この新物質相の形成の限界を明らかにしたが、特定の組成で秩序性の高い構造が得られることを発見した。また両親媒性分子は、その官能基数によりシリケートとの結合状態が異なることを明らかにした。 こうして合成された物質相においては、両親媒性分子が容易にイオン交換で置換するのみならず、遷移金属イオンとも置換することを明らかにした。交換後のミクロ構造を解析したところ、シリケートの構造はほとんど変わっていないことが明らかになった。ただし、メソ構造は交換後の分子、イオンに依存した構想へと変換した。本年度に解明した構造変換の諸特性は、イオン吸着剤への応用において、最適なメソ構造、リサイクルと再利用可能性の解明の基礎となる。
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