逆オパール構造および微粒子の三次元集積構造を持つナノ多孔体電極について、再現性の良い作成方法を確立することを目的に検討を行い、下記の結果を得た。1.電気化学解析に適した逆オパール構造を有する多孔体電極の作製方法に関しては、微粒子としてポリスチレン、シリカ微粒子を、鋳型となるオパール結晶の作製方法として引き上げ法、蒸発法、沈降法を、構造体の形成方法として電解、無電解金めっき法を、文献検索および実験によって検討した。現在のところ、引き上げ法によって作製したポリスチレン微粒子のコロイド結晶を鋳型とする電解めっき法が最も有望と考えている。2.金属微粒子の三次元集積構造に関しては、ブロック長の異なるフェノチアジン(PT)を持つポリエーテル系感熱応答性高分子poly(ethyl glycidyl ether)-block-poly(ethylene oxide)(PT-PEGE-b-PEO-SH)合成し、これを修飾した金ナノ粒子(AuNP)を調製した。得られたAuNPsについてMeOH中動的光散乱測定で決定した高分子層の厚さを含むAuNPsの流体力学的半径は15nm前後であり、電子顕微鏡で決定したAuNPのみの半径は5nm程度であった。熱測定から得られた高分子/Au重量比と合わせて高分子の修飾密度は6〜9chains nm^<-2>と計算された。3.高分子修飾AuNPsから形成した高分子膜中に含まれるPTのレドックス応答は、疎水性のPEGE ブロック長、測定温度や電解質中の対アニオンに依存して変化した。また、この高分子膜は電 解質中のレドックス種に対して整流効果を示した。しかし、多孔体電極として機能した結果得られるレドックス種の反応電流の増大は観られなかった。これは高分子がAuNPs問のスペーサーとしては長すぎるためと考えられる。
|