逆オパール構造および微粒子の三次元集積構造を持つナノ多孔体電極について、再現性の良い作製方法を確立すると共に、作製した電極の電気化学応答をマクロ電極の応答を比較し、下記の結果を得た。 1.引き上げ法によって作製したポリスチレン微粒子のコロイド結晶を鋳型として、金を電解めっきすることで、20層まで層数を制御して逆オパール構造を持つ多孔体金めっき電極を作成できることを確認した。現時点では場所による層数のバラツキが±2〜3あり、高精度の電気化学解析のためにはより均一性を上げてゆく必要がある。 2.3層と13層の多孔体金電極を作製し、電気化学測定を行った。SEM観察から得られた層数を基に計算した表面積と充電電流から見積もられる表面積はよく一致し、全細孔内表面が電極として機能していることを確認したが、溶液中に溶解したレドックス種の反応電気量から計算される表面積は実表面積の1/5以下であった。この結果は、細孔内ヘレドックス種が迅速に供給されないことを示唆する。時間に依存したレドックス種の反応量を考察するためにクロノクーロメトリーで測定した電気量-(時間)^<1/2>プロットは一般的に観られる直線ではなく、測定初期に大きな増加を示した。この理由について今後解析を進める。 3.多孔体金電極を酵素電極系へ展開するための基礎として、細孔内を含む全金電極表面にCOOH末端アルカンチオールを修飾し、これを介して電極上にチトクロムcを静電的に固定化して酸化還元応答を観測した。平板電極上と同様の応答が得られ、多孔体金電極を酵素電極系へ展開できる見通しが得られた。
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