色素が凝集することなく高濃度に分散した固体薄膜材料は波長可変の固体レーザー材料としての応用が期待されている。本研究ではこのような色素を高濃度かつ単分子状態で固定化したシリカ薄膜の作製を目的として研究を行い以下のような成果を得た。 前年度に確立したシリル化マガディアイトへ3-アミノプロピルエトキシシランを作用させることによってアミノ基を固定化した後に、アミノ基と選択的に反応する1-ピレンブタン酸の活性エステルと反応させる方法をさらに改良することで、色素を前年度の10倍程度であるSi_<14>O_<29>ユニットあたり0.9個まで結合させることに成功した。このときシリル化剤中のアルキル鎖長が6を越えるとアミノ基の導入率が上がること、アミノ基量がSi_<14>O_<29>ユニットあたり1程度の際に色素固定化の効率が高いことも分かった。これはマガディアイト層間には限られたスペースしかないが、反応を進行させるには適度な空間が必要なためである。また、蛍光スペクトル測定からピレンを導入した場合、最大でSi_<14>O_<29>ユニットあたり0.16個単分子状態で導入することが可能であった。この値はこれまでに粘土-ポルフィリン系で報告1されている値をしのぐものである。さらに、色素を固定化した後の試料がクロロホルム中でナノシート化することを見出し、その吸収・蛍光スペクトル測定からアルキル鎖中にフッ素を含む場合に色素の発光効率が大きく変化することを見出した。
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