平成20年度は高分子としてポリスチレンを用いて、剪断に伴う密度揺らぎの誘起される現象の観察を行った。具体的には 1)散乱法でその場観察可能な剪断印加装置の導入 2)散乱法による剪断印加中での密度揺らぎの時間変化の測定 を行った。 1)散乱法でその場観察可能な剪断印加装置の導入 散乱法でその場観察可能な剪断印加装置の導入を行った。具体的な装置としては顕微鏡観察でその場観察可能な剪断印加装置において小角X線散乱法(SAXS)法でわずかな密度揺らぎも測定できる様に、剪断を印加するプレートをスーパーエンジニアリングプラスティックであるMELDINによって作成しした。その結果、石英のウインドウに比べて格段に透過率が上昇し、密度揺らぎに伴うわずかな散乱光の測定することが可能になった。 2)散乱法による剪断印加中での密度揺らぎの時間変化の測定 SAXS法によりガラス転移温度以上のポリスチレンにおいて、剪断印加中の密度揺らぎの測定を行った。その結果、ガラス転移温度以上の溶融状態においても、剪断印加に伴い密度揺らぎが生じることが確認された。得られた散乱パターンは剪断方向に平行方向に強く現れるバタフライパターンとなり、粘弾性効果によって密度揺らぎの誘起が起こることが明らかとなった。それが非線形粘弾性現象の発現機構になると考えられる。
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