天然ゴムマトリックス中で、約40nmの大きさのin situにシリカを約70重量部生成させて創る高性能グリーンナノコンポジットの補強メカニズムを探究した。先ず、未架橋のin situシリカ充てんゴムの特性化をレオメーターによるペイン効果の定量分析、引張試験による強度測定、バウンドラバー量分析、熱重量測定と示差走査型熱量測定による熱特性分析、透過型電子顕微鏡観察等により行った。そして、機械的混練りで得られる未架橋カーボンブラック、および汎用シリカ配合ゴムの特性と比較検討した。その結果、in situシリカ充てん天然ゴムではin situシリカとゴムとの相互作用がカーボンブラックの場合より極めて強く、そのことが高性能グリーンナノコンポジットとなった主要因であることを明らかにした。そこで、パーオキシサイド架橋in situシリカ充てん天然ゴムの作製を行い、SPring-8のBL-40XUビームラインに小型引張試験機を設置し、外部制御して引張試験同時高速広角X線回折(WAXD)測定を行った。現在、得られた時分割WAXDイメージのコンピュータ解析を行って、パーオキシサイド架橋in situシリカ充てん天然ゴムの伸長結晶化挙動を探究している。また、温度依存、周波数依存条件下での動的粘弾性試験とヒステレシス試験、熱分析を行い、ネットワーク化したゴム試料におけるin situシリカ粒子の高い補強性発現機構を解析している。引張試験同時近赤外分光測定については、予備検討の結果、解析に十分なデータ取得が困難であることが判明し、「高性能グリーンナノコンポジットの補強メカニズム解析」に、より適切な分析方法を検討している。本成果は、ナノ粒子によるコンポジットマテリアルの発展に有用となろう。
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