主鎖型と側鎖型のスルホン化ジアミンとして、4、4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル-3、3'-ジスルホン酸(BAPBDS)と2、2'-(4-スルホフェノキシ)ベンジジン(BSPOB)を選び、これらと非スルホン化ジアミンとナフタレン-1、4、5、8-テトラカルボン酸二無水物とのランダム共重合(r-co-)とシークエンス化ブロック/ブロック共重合(b/b-co-)ポリイミドを合成し、基本物性と膜モルホロジーを調べた。 BSPOB系のb/b-co-SPI膜では、ミクロ相分離構造をとり、膜面方向に層状に配向していることがTEMにより観測されたが、r-co-SPI膜では、そのようなモルホロジーは観測されなかった。b/b-co-SPI膜のプロトン伝導性はr-co-SPI膜より2〜3倍大きかった。両共重合体共に、水中で膜面方向に比べて膜厚方向に10倍以上大きく膨潤する異方性の膜膨潤を示したが、プロトン伝導度は膜厚方向が膜面方向より30%程度小さかった。一方、BAPBDS系のb/b-co-SPI膜では、ミクロ相分離構造は観測されなかった。BAPBDS系の共重合体膜は膜膨潤の異方性が2〜3倍と小さかったが、プロトン伝導の異方性は、BSPOB系SPI膜と同程度であった。膜膨潤の異方性とプロトン伝導の異方性の間にははっきりした相関は見られなかった。b/b-co-SPI膜は、膜の機械的強度に劣るので、複合化して燃料電池に用いる必要がある。 BSPOB系のr-co-SPI膜を用いる固体高分子形燃料電池は、90℃で30%RHの低加湿下でも比較的高い発電性能を示し、1000h以上の耐久性を示した。
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