研究概要 |
固体高分子形燃料電池(PEFC)用に最適な電解質膜の開発の設計指針を得ることを目的に、スルホン化ポリイミド(SPI)膜のモルホロジーとプロトン伝導並びにPEFC発電特性との関係を解明した。 (1)ブロック共重合SPI(b/b-co-SPI)の膜モルホロジー、プロトン伝導およびPEFC発電特性スルホン化ジアミン、2,2'-ビス(4-スルホフェノキシ)ベンジジン(BSPOB)と非スルホン化ジアミンとナフタレン系テトラカルボン酸二無水物(NTDA)とからb/b-co-SPIを合成した。STEM観察から、BSPOB系b/b-co-SPIは、親水性と疎水性層状ドメインが膜面方向に配向した明確なミクロ相分離構造を示した。層状ドメイン構造は、水収着量(WU)の増加そして、膜膨潤の異方性(膜面方向に比べて膜厚方向に大きく膨潤)の増加を生じた。その結果、膜面方向のプロトン伝導度σ_<//>は大きく増加したが、膜厚方向の伝導度σ_⊥は大きく減少した。このため、PEFC発電性能は、ランダム共重合SPIに比べて、特に低加湿で大きく低下した。 (2)ポリスルホン化フェニレン-ブロックーポリナフタルイミド(PSP-b-PI)共重合体 親水性のPSPブロックと疎水性のPIブロックからなるPSP-b-PI共重合体を合成した。この膜はミクロ相分離構造を示し、耐加水分解性に優れ、膜膨潤とプロトン伝導の異方性が弱く、大きな膜厚方向の伝導度を示し、低いイオン交換容量でも高いPEFC発電性能を示した。 (3)ナノハイブリッド電解質膜の作製とPEFC発電特性。スルホン酸基を含むミクロポーラスナノ粒子とのナノハイブッリドSPI膜を作製した。この膜は、高温低加湿(110℃、30-50%RH)でナノ粒子が膜中での水の逆拡散を促進するため、比較敵高いPEFC発電性能を示した。
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