研究課題/領域番号 |
19560004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50211850)
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研究分担者 |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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キーワード | 超伝導 / 電気化学 / インターカレーション / デインターカレーション / リチウム / マグネシウム |
研究概要 |
スピネル型超伝導体LiTi_2O_4(T_c〜12 K)に対して、電気化学法を用いて、Liデインターカレーションを行った結果、Li_xTi_2O_4(0.7≦x≦1)が得られ、T_cは13.4 Kに上昇した。一方、Liインターカレーションでは、LiTi_2O_4とLi_2Ti_2O_4に相分離し、Li_2Ti_2O_4は超伝導転移しないことがわかった。さらに、Mgインターカレーションを行なった。作用電極は、粉砕した試料粉末に導電剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を加え、 N-メチル-ピロリドン(NMP)液を垂らしたものをNi箔に塗り、乾燥させて作製した。対向電極、参照電極にはMg箔を用いた。また、電解液にはMg(ClO_4)_2/PCを用いた。実験はすべてアルゴン雰囲気下のグローブボックス中でおこなった。Mg量の増加とともに、一旦、超伝導は抑制されるが、Mg_xTi_2O_4(x>1)ではT_c=11 Kの超伝導が復活することがわかった。これらのT_cの振舞いは、フェルミ準位での電子状態密度を反映しているものと思われる。層状窒化物ZrNClは、 LiインターカレーションによりT_c〜15 Kの超伝導転移を示すことが知られている。そこで、さらに電子キャリアをドープするためMgインターカレーションを試みた。その結果、T_c〜15 Kの超伝導転移を確認した。初めてのMgインターカレーション超伝導体である。 T_cはMg量に依存せず、超伝導体積分率はx(Mg)〜0.1が最高であった。この振る舞いは、超伝導相と非超伝導相に相分離していることを示唆する。また、粉末X線回折の結果、Mgとともに溶媒のPCも同時にインターカレーションされていることがわかった。 以上のように、Mgインターカレーション法が、今後の新超伝導物質探索研究に極めて有用であることを示すことができた。
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