研究概要 |
◎各種配向状態の液晶素子作製とレーザ光照射条件の検討 ホモジニアス,ホメオトロピック,ハイブリッド,ツイステッドネマティックの計4種類の液晶分子配向状態の素子を,種々の液晶材料を用いて作製した。配向膜としては、数種類のポリイミド、ポリビニルアルコールを用い,ラビング配向処理によって、平行配向、垂直配向、チルト配向表面を得た。青紫半導体レーザ光の直線偏光方向は、液晶分子の入射基板面の配向方向と直交、または平行とし、レンズで集光して液晶素子に照射した。その結果, 1.光劣化による配向変化には,配向膜界面における液晶分子の極角方向(チルト角)変化,方位角方向(ねじれ角)変化,光分解の3つが,それぞれ単独または複合的に生じた。 2.同-液晶材料であっても,配向膜の種類によって光劣化の状態が異なった。 3.液晶材料ごとの耐光性順位は,配向膜によって異なった。 4.配向界面での液晶分子配向変化は,バルクでの液晶分子配列状態,すなわち弾性ひずみの有無,またはレーザの偏光状態のバルク内および出射側配向膜界面における変化により,劣化の進行状態が異なった。 5.配向膜の極角および方位角アンカリングカの低下が確認された。 ◎集光照射においては,ファーフィールドパターン(FFP)変化の観察を行い,光劣化のリアルタイム評価を試みた。 1.光配向変化が生じるとほぼ同時に,同心円上の干渉縞が現れ,またそのパターンが劣化の進行とともに変化することを確認した。FFPの変化が生じるまでの照射時間を観察することで耐光性の順位を用意に明らかにできることを明らかにした。 2.光分解に伴うFFPは,規則的な同心円状のFFPとならないため,光配向変化によるそれとは区別が容易であった。 3.液晶ダイレクタとレーザの偏光方向が直行している場合,極角方向のみの光配向変化ではFFPが変化せず,一時的な1/2波長板の挿入等によりFFP変化を観察でき,光配向変化の形態に関する情報も得ることができた。
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