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2008 年度 実績報告書

リン酸塩ガラスの超プロトン導電性発現に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19560010
研究機関茨城大学

研究代表者

高橋 東之  茨城大学, 理工学研究科, 教授 (30202154)

キーワード非晶質 / 燃料電池 / プロトン伝導 / リン酸塩ガラス / ガラス構造
研究概要

リン酸塩ガラスにおけるプロトン導電性の発現を明らかにするために、擬2元系よりも耐久性を向上させたリン酸塩ガラス12BaO-12Sr-12PbO-64P205を中心として合成条件による赤外吸収特性、比熱ならびに伝導特性の変化を測定し、以下の結果を得た。
1) 900℃以上で溶融したガラスについては、すでに提案されているプロトン伝導度がプロトン濃度の2乗に比例するという関係に従うが、それ以下の温度で溶融したガラスではプロトン濃度から期待されるプロトン伝導度より大幅に増加する。
2) プロトン伝導度ならびに比熱はガラス転移温度に比例する。このことはガラス中に含まれる全水分量がガラス転移温度とプロトン伝導度を支配していることを示唆している。ガラス中の水にはリン酸鎖中でOH基として存在するものと水分子の状態で存在するものがある。赤外吸収スペクトルの測定から低温で溶融したガラスではOH濃度に上限があると考えられることから、これに代わって水分子が増加すると考えられる。
3) 交流インピーダンス測定から、プロトンホッピングの活性化エネルギーは高温で溶融したガラスではほぼ一定、低温で溶融したガラスではイオン伝導の活性化エネルギーにほぼ等しい。このことから、プロトン生成のエネルギーはガラスの溶融温度低下とともに減少し、低温溶融ガラスではゼロになると考えられる。以上の結果から、リン酸塩ガラスでは溶融温度によって以下のような伝導機構の変化が生じていると考えられる。高温溶融ガラスでは熱的に生成されたプロトンが直接非架橋酸素をホッピング伝導するのに対して、低温溶融ガラスは遊離したプロトンがすでに存在し、これがガラス中に分散する水分子を媒介としながらホッピング伝導をする。このため、低温溶融ガラスでは高プロトン伝導性が実現しているものと考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2008 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Oscillatory diffuse scattering study by time-of-flight neutron scattering2008

    • 著者名/発表者名
      Khairul Basar, et.al.
    • 雑誌名

      Physica B 403

      ページ: 2557-2560

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Viscosity-temperature relationship of glasses with low melting points obtained by wide-range measurement2008

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Kobayashi and Haruyuki Takahashi
    • 雑誌名

      J. Ceram. Soc. Jpn 116

      ページ: 855-858

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sodium ion motion in NaI-AgPO3 glasses2008

    • 著者名/発表者名
      Haruyuki Takahashi, et.al.
    • 雑誌名

      Solid State Ionics 179

      ページ: 2137-2141

    • 査読あり
  • [学会発表] 12SrO-12BaO-12PbO-64P_2O_5ガラスにおけるプロトン伝導機構2008

    • 著者名/発表者名
      清水秋彦、矢崎貴寛、高橋東之、佐久間隆
    • 学会等名
      第34回固体イオニクス討論会
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所
    • 年月日
      2008-12-05
  • [学会発表] MO-P_2O_5系ガラスのプロトン伝導特性2008

    • 著者名/発表者名
      高橋東之、清水秋彦、矢崎貴寛、佐久間隆
    • 学会等名
      日本物理学会2008年秋季大会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-09-20
  • [学会発表] リン酸塩ガラスのプロトン伝導2008

    • 著者名/発表者名
      清水秋彦, 矢崎貴寛, 高橋東之, 佐久間隆
    • 学会等名
      第49回固体イオニクス研究会
    • 発表場所
      山形市市民生活支援センター
    • 年月日
      2008-06-26
  • [備考]

    • URL

      http://info.ibaraki.ac.jp/scripts/websearch/index.htm

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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