研究課題/領域番号 |
19560015
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
尾関 雅志 宮崎大学, 工学部, 教授 (70336288)
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研究分担者 |
福山 敦彦 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10264368)
前田 幸治 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50219268)
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キーワード | 微細構造 / GaAs / 超音速分子線 / 結晶成長 / 選択成長 |
研究概要 |
目標であるエネルギーコントロール原料分子技術を用いて基板表面上に所望の微細な構造を持った量子構造を成長させる基礎技術の研究開発の道筋を得ることができた。対象とした結晶は、GaAs(001)、GaAs(llO)、GaAs(111)A、GaAs(lll)Bであった。これらの結晶表面にエネルギーコントロールした有機ガリウム分子を照射し、成長反応の結果、表面から脱離や散乱してくる化学種を、回転型の質量分析器で解析した。原料分子は、ヘリウムガスによるシーディング法によりその運動エネルギーを0.04eVから4.8eVまで変化させた。いずれの結晶面にたいしても表面温度が室温付近では、入射原料分子が表面の浅い物理吸着井戸に捕らえられた後、表面に熱平衡温度となった後に結晶表面から脱離するいわゆる“trapping/desorption"過程による脱離スペクトルと表面に衝突した後に十分そのエネルギー交換が表面原子とできずに浅い表面吸着井戸から散乱する"inelastic-scattering"過程によるスペクトルが観測された。さらに表面原子と直接反応過程に入るという重要な直接反応プロセスが観測された。この直接反応プロセスを、量子構造の作製に応用するという目的で研究を進めた。GaAs(110)を用いた実験では、原料分子運動エネルギーを、4.3eV以上に上げると、成長反応が著しく活発になり、成長速度が一桁以上増加するのが観測された。この反応が活発になるエネルギー閾値は、結晶面により異なることが観測された。たとえばGaAs(111)Aでは、閾値運動エネルギーは、GaAs(110)面に比べて低く1.3eVであった。このように結晶面により、直接反応過程に入る、原料分子運動エネルギーが異なるという新しい発見から、原料分子の運動エネルギーをコントロールすることによりある特定の結晶面のみを成長させ、量子構造の形状をコントロールするという可能性を示すことができた。
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