研究概要 |
走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針から注入したトンネル電子を励起源とした発光を調べるために,まず直接遷移半導体であるp-GaAs(110)表面を試料として計測の最適化を行った.探針は先鋭化した光ファイバーにITOをコーティングしたものを用い,探針直下の発光を効率良く検出する.p-GaAs(110)表面を試料として用いた場合,フォトンカウンティング領域ではあるが,数pAの微弱トンネル電流でも発光を検出することが出来た。また,この光ファイバー探針を用いても原子分解能のSTM観察が可能なことを確認した.さらに,この微弱光を分光することもでき,そのピーク波長は838nmとGaAsのバンドギャップと一致しており,バルクからの発光を計測していることが分かった。以上のように,STMの原子分解能観察と,STMのトンネル電子を励起源とした発光を検出および分光を同時に行えることを確認した. また,分子組織化については,マクロ計測が可能な低速電子線回折装置に試料冷却機構を設置し,周期構造の高分解能計測が行えるようにした.
|