弾性、非弾性トンネリング、オージェ遷移などのナノメートルスケール物質間の電子移行による電子・表面原子間の電子反応プロセスを解明することで、単電子デバイスや走査トンネル顕微鏡(STM)のナノデバイス技術への応用が展開できる。本研究は、この電子反応プロセスにおいて、吸着層をともなう半導体表面+準安定励起原子(He^*)をモデルとして、個々の反応時間領域に分けて実験データを得ることと、これらのデータから電子移行に関わる時間依存性を見出し、電子移行メカニズムを解明しようとするものである。研究計画は、まず実験システムの構築が重要である。以下に研究成果を述べる。 1) 昨年度設計したヘリウムイオン銃の製作を行った。ICF114のフランジに電極を取り付け、このフランジ面に組み上げた。イオン銃を囲む短管は、He*ビームラインのものを代用できるように設計した。またヘリウムイオンを生成させるための放電電源を設計し、製作した。 2) He*ビームラインを差動排気型にするため、ターボ分子ポンプ1台を新たに装備した。このポンプを装備するための短管に、ヘリウムイオンを除去するための電極を設けた。 3) これまで平行平板阻止電場型アナライザを用いてきたが、分解能を向上させるために127°同軸円筒型の分析器の設計を行った。内側と外側の電極、スリット、そして碍子の加工を行った。 以上、実験システムの構築を計画通り行うことができた。
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