研究概要 |
1.アレイ導波路型回折格子(AWG)の位相誤差測定 10GHz間隔160チャネルAWGの位相誤差を低コヒーレンス光干渉計にて測定した。本測定系ではポートごとに参照レーザ光の波長と白色干渉計のステージ位置をマニュアル微調する必要があったので,全160ポートの測定に40時間を要した。この間の測定条件の変化(光学系のアライメントずれや偏光状態の変化)によって位相誤差データに0.1rad以上の誤差が発生してしまった。位相誤差データをスラブレンズ上の屈折率分布導出プログラムに入力して解析したが,発生した誤差によってレンズ上の歪み分布を明確に導出することができなかった。そこで,短時間に位相誤差を測定できるシステムを開発した。 2.周波数領域AWG位相誤差測定系の開発 従来法では信号サンプリングのためのクロックを参照ビート信号から電気的に発生させてきたので,クロックのジッターにより相誤差測定精度が十分ではなかった。今回,ヒルベルト変換を利用して参照ビート信号から導出した位相変化からクロックの位置を数値計算による高精度に検出するアルゴリズムを開発した。この結果,位相誤差測定精度を従来値(10^<-2>)から10^<-3>radまで1桁向上させることに成功した。しかも本方式では参照レーザ光の波長を調整する必要がないため,マニュアル操作でも測定時間は1分/ポートに短縮できた。 3.スラブ型導波路レンズの不み導出プログラムの作成 AWGの7x25mm^2スラブ導波路部分を1x1mm^2寸法の175メッシュに分割し,位相誤差分布データと透過スペクトルをもとにメッシュの屈折率変位を最小二乗法にて導出するアルゴリズムを作成した。しかしながら,測定データ自体に大きな誤差があったため,当プログラムからスラブレンズ上の歪みを明確に特定することはできなかった。 4.UVレーザ照射系の構築 購入した5倍波発生装置と既設の設備をもとに,波長213.2nm,16.5mJ/パルスのUVレーザをAWGサンプルに集光させる照射系を構築した。石英系導波路部分に集光した予備実験により,1分の照射時間で10^<-4>の屈折率変化を導波路に誘起できることを確認した。
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