研究概要 |
光周波数領域にてヒルベルト変換を利用してアレイ導波路型回折格子(AWG)の位相誤差を測定する光干渉計測法の測定精度を向上させるため、参照ビート信号がπ/m(m:正の整数)変化することに主ビート信号をデジタルサンプリングする、アップサンプリング法を考案した。しかしながら、m=8までのアップサンプリングを用いてサンプリングの位置精度を向上させても、測定精度を10-3rad以下に向上させることは難しいこと、精度向上を阻害する主要因が波長掃引中の外乱によって干渉計の位相が変動することにあることが判明した。 そこで、当該精度にて10GHz間隔160チャンネルを有するAWGの位相誤差を測定した。当初、位相誤差測定分布中に約0.1radの周期的な変動が観測された。これは、AWGの中心部に波長板が挿入されているため、レーザ光では入射端にてTEモードのみを励起するための偏光調整が難しく、TMモードも励起されたためであると判明した。そこで、スペクトル幅の広いASE光を用いて1530〜1600nmの波長域全体で最適な偏光調整を行い、この励起条件にて位相誤差を測定することにより、上記の変動を消去できた。3時間の測定にて160ポートにおける位相誤差を測定し、これらを3次元表示することにより、端ポートに近づくにつれて位相誤差が急激に増加する傾向が明らかになった。次に、出射側のスラブレンズを0.2mm間隔のメッシュに細分化し、各メッシュi(i=1,2,,,)における屈折率変化を当該160ポートの位相誤差分布と透過スペクトルを用いて,最小二乗法により導出するプログラムを作成したが、特定のメッシュにおいて、顕著な屈折率変化を導出することはできなかった。
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