研究概要 |
量子情報通信技術の分野において、光の非古典的性質である量子相関は重要なリソースでめる。様々な応用を考えた場合、量子波長変換技術を用いていろいろな波長で量子相関を生成する技術が必要となる。本研究では、CWでの量子相関の波長変換技術の基盤を確立することを目的としている。本年度は本研究の初年度であり、光パラメトリック発振器から発生した量子相関光子対ビームの光強度量子相関が、光共振器内の非線形結晶による和周波混合過程でどのように波長変換されるかの理論解析を行った。和周波混合用の光共振器は高効率化のために3波共鳴型とし、別に用意したポンプ光(ω_2)と光子対ビームの片方(ω_1)を共振器内の非線形過程で和周波混合させて波長変換された出力光(ω_3=ω_1+ω_2)を取り出す。この出力光と光子対ビームの相方のビームの間の量子相関について半古典的アプローチによる解析を行った結果、古典的な波長変換パワーが最大となるポンプ光パワーにおいて量子相関の波長変換は最適化されることが分かった。また、ω_1,ω_3の共振モードのダンピングファクターγ_1,γ_3に関しては、γ_3をγ_1より大きくした方が量子相関の波長変換帯域幅は広くなることが分かった。この理論解析の結果により、量子相関の波長変換システム設計のための重要な指針が得られ、実際の実験装置の設計パラメータの算出が可能となったことは意義深い。以上の結果に基いて和周波混合光共振器の設計製作と結晶関連の整備を行い、光パラメトリック発振器から発生させた量子相関光子対ビームを用いて別のレーザ光をポンプ光とした和周波混合実験を開始した。
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