平成19年度は、以下の2項目について下記のとおり実施した。 1、光ファイバーとAPDとの結合検出系の最適化 1光子検出可能なAPDは暗電流雑音を極力小さくしているため、光検出面が小さくなる(直径0.2mm程度)傾向にあるのは避けられない。そのため光ファイバーの断面の大きさや開口数も含めて、結合光学系を最適化する必要があった。そこで現実に入手可能なレンズや光ファイバーを想定して、光学系設計のためのシミュレーション計算を行った。その結果、直径0.6mm、開口数が0.37の光ファイバーに非球面レンズ2枚の組み合わせることによって、結合効率が向上することが分かった。実際に結合光学系を組んで測定したところ、結合効率が12%から72%に向上できたことを確認した。この光学系を使って実際に固定ルシフェラーゼによる光子数を測定したところ、以前と比較して検出光子数が5倍程度向上したことも確認できた。しかしATPの感度は10^<-15>mol程度と以前とほぼ同じ結果となった。この原因は、検出器が劣化し暗電流雑音が以前に比べて増えていたため、すでに暗電流雑音レベルに達してしまっていたためであることも分かった。したがって、暗電流雑音のさらに低いAPDを使うことができれば、10^<-11>molオーダーでの測定が可能であることが明らかとなった。 2、四重極トラップの製作とテスト 本年度は四重極トラップの計算と設計を目標に進めてきたが、水中ではトラップによる質量選択が難しいことが分かった。
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