研究概要 |
本年度は、周波数変化型高感度2軸加速度センサの実験的検証を行う目的から、特に実験用の大型金属センサ試料の有限要素法解析による設計とその試作を主に実施した。 1.センサの高感度化のための支持棒形状の設計 (1)プロトタイプセンサに使用されるπ型および逆T型支持棒の有限要素法解析により、xおよびyの2軸方向への支持スチフネスがほぼ等しくなる寸法値を設計した。 (2)次に、センサの高感度化を図る一手法として、支持棒を折り曲げて2軸方向の支持スチフネスの値が小さくてほぼ等しくなる各種の支持棒形状を比較検討した。 (3)その結果、プロトタイプセンサの全支持スチフネス値約1.11×10^6N/mに対して、折り曲げ支持棒では約2.3×10^5N/mなる値が得られ、全スチフネス値が約1/5に低減されることが分かった。 2.2軸加速度センサの設計と試作 (1)プロトタイプセンサの外形寸法にほぼ等しい折り曲げ支持棒を用いた金属2軸センサの設計を行い、約90.0×95.8×10.2mm^3の外形寸法で、共振周波数f_0が約1.688kHz、印加する加速度1G(=9.8m/sec^2)当たりの共振周波数変化率Δf/f_0が約27,600ppmなる値が実現された。 (2)2軸センサの設計結果に基づき、プロトタイプと外形寸法のほぼ等しい折り曲げ支持棒を用いたセンサを、金属(SUS304)を使用して放電加工により試作した。また、センサ固定用の真鍮製の支持固定台も製作した。実験的検証については、次年度実施することにした。 (3)センサの変化率Δf/f_0の値は、プロトタイプセンサと比較してわずか13%増と理論的に推定された。この理由は、単結晶シリコンセンサの設計でも明らかにしたが、センサの外形寸法を等しく設計したために、折り曲げ支持棒の適用によってセンサの質量部が減少し、折り曲げ支持棒使用による高感度化の効果が大きく現れなかったことに起因している。今後、質量を等しく設計した場合との比較を実施したい。
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