角度分解X線イメージングは、試料によるX線の屈折をアナライザで検出することにより像を得る手法であり、従来の吸収を利用するX線イメージングより遙かに感度が高いという優れた特長を持っている。しかし、これまで角度分解X線イメージングで利用されてきたアナライザでは角度分解能が固定されていたため、一つの光学糸で観察できる試料の種類が限られ、また、最適条件下で試料を観察することが困難だった。これらの問題を解決するため、分解能可変のアナライザを作成し、その性能評価を行った。 作成したアナライザはシリコン結晶板を二枚平行に配置したものであり、二枚目の結晶の角度をわずかにずらすことにより(オフセット角Δθ=0.1秒〜数秒)角度分可能を調整することができる。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光研究施設(Photon Factory)のBL-14Bでこのアナライザの評価実験を行ったところ、ほぼ理論計算通りの性能が得られた。また、角度分解能を変えつつ様々な試料を観察したところ、分解能を高くした時に鮮明な像が得られるケースと、逆に分解能を低下させた時に見たい領域が鮮明に見えるようになるケースがあることが確認された。この結果は、アナライザの分解能を可変にすることの有用性を示している。 また、NHK放送技術研究所とKEKが共同で開発した高感度X線HARP検出器を導入し、検出器の感度を変えながら様々な試料の観察を行った。
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