本課題ではZCZ系列の生成方法及び応用について検討を行っている。ZCZ系列とは、以下に示す二つの条件を満たす系列セットのことである。i)セットのどの系列についても、自己相関関数が位相差の絶対値が1以上Z以下で、常に0となる。ii)セットのどの系列の対についても、相互相関関数が、位相差の絶対値がZ以下で、常に0となる。このZCZ系列には、i)生成されるZCZ系列について、生成可能な長さ、本数、零相関範囲の広さ以外の数理的性質はほとんど明らかにされていない。ii)ZCZ系列では、零相関範囲の外に相関関数のピークが小さい方が応用上望ましいが、ピークについては、少数の研究しか存在しない。iii)既存のZCZ系列の生成方法は、アダマール行列、相補系列、完全系列などをもとにしているが、生成されたZCZ系列の性質制御法についてはまだ未解明の点が多い。iv)新規系列生成方法の開発につながるようなZCZ系列生成方法の数理的条件などが明らかになっていない。v)系列生成方法ごとに、生成できる系列の本数や長さに制限があり、応用上の障害となっている。 本年度は、以下の成果をあげた。1)完全系列のインターリービングを用いたZCZ系列の生成方法について、零相関範囲外のピーク値を従来の半分にした方法の開発、2)相補系列と完全系列を用いたZCZ系列構成方法の一般化、3)完全系列を用いたZCZ系列構成方法について、従来法よりも生成に関する制限を緩和し応用範囲を拡大した系列構成方法、4)低ピーク比疑似白色雑音系列を用いたZCZ系列セット構成方法。5)2次元ZCZ系列セットの新しい構成方法。 これらについては、論文および国際学会に投稿・発表した。投稿した論文の一部は、平成20年4月現在で、審査中である。
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