研究概要 |
今年度は、(1)電解めっき銅箔の弾・塑性・クリープ構成モデル、(2)電解めっき銅箔の疲労試験法、(3)電解めっき銅箔の疲労寿命評価法、(4)階段マイクロインデンテーションによるクリープ特性の評価法について検討した。 (1) では、昨年度実施した試験結果に基づき、電解めっき銅箔の変形挙動がシミュレートできる弾・塑性・クリープ構成モデルを構築した。この結果、引張負荷におけるひずみ速度依存性、クリープ変形、応力緩和挙動のシミュレーションが可能となった。また, シミュレーションの精度は、クリープ構成モデルの記述精度に大きく依存することが判明した。 (2) では、電解めっき銅箔は、繰返し引張り・除荷を与えることで引張方向にひずみが蓄積するラチェット変形を示し、最終的に破断に至ることが明らかとなった。この現象を疲労とみなし、最大応力や最小応力を変えた数種類の負荷条件で繰返し引張り・除荷による疲労試験を実施した。 (3) では、(2)の試験で得た疲労寿命と応力-ひずみ曲線の関係を調査した。この結果、各試験におけるラチェットひずみ増分と疲労寿命は高い相関を示し、この関係は疲労寿命予測に適用できる可能性のあることが判明した。 (4) では、Sn-3.0Ag-0.5Cu材を試験材料として、ビッカース圧子の押込みと位置保持を繰返す階段マイクロインデンテーション試験を実施した。また、昨年度実施したFEM解析結果を用いて、インデンテーションにおける応力の算出方法について検討し、ひずみ保持部での荷重緩和曲線から、クリープ構成モデルの材料定数を得る方法について考察した。
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