研究概要 |
多軸疲労強度設計の現状から,非比例・多軸の過酷負荷状態下にある機器・構造物の健全性および信頼性保証(安全・安心)の点からも,適切な非比例多軸疲労の変形・損傷モデルを構築することは,設計技術者からも強い要望がある.しかしながら,いくつかの寿命評価モデルが提案されているが,ASME基準等に代わる寿命評価モデルの完成の域には至っていないのが実状である.本研究では,多軸疲労強度設計基準を構築する上で,多軸疲労研究の成果の鍵を握る実験研究,また,研究者と設計現場が抱えている諸問題の把握や国際的な動向等の調査が必要であるとの認識から,(1)研究調査,(2)多軸疲労試験,(3)設計基準の構築,を主柱とする研究を実施することを目的とした。本年度の研究では,平成19~20年度に実施した(1)および(2)の研究成果を基に,とくに応力増加と寿命低下のメカニズムの材料依存性の解明に主眼をおいて,材料工学の切り口から多軸下における材料強度特性を示し,非比例多軸負荷における低サイクル疲労寿命評価手法について示した.また,平成21年度後半から(3)の設計基準の構築にあたる寿命評価法の開発および実設計・評価への反映に向けた具体的な検討を行い,本年度には非比例多軸負荷の応力・ひずみ状態,多軸度および非比例度を簡易的および視覚的に解析および表示するツール(プログラム)を試作した.複雑な多軸負荷を受ける機器・構造物の設計・開発および維持管理者が使用できる汎用ツールの開発に向けて本研究の継続研究を展開する.
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