本研究では、レーザ熱衝撃を受ける電子薄膜材料に生じる温度波や熱衝撃応力波を、簡便かつ正確に求めるための「特性曲線法を用いた数値シミュレーション法」を確立する。この解法によれば、波頭近傍での熱衝撃応力を正確に評価することができ、また他の数値解析法とは異なり、長時間の温度波や熱応力波を安定して求めることが出来、熱衝撃破壊機構を正確に解明することが期待される。 本年度は次の問題の解析を行った。 1. 二層薄膜材料の界面熱伝導および界面熱衝撃強度の解析 レーザ熱衝撃を受ける二層薄膜平板の温度波および熱応力波を、粒子速度の減衰を考慮して解析した。解析にはLord-ShulmanおよびGreen-Lindsayによる一般化された熱弾性基礎式を用い、減衰項および緩和時間が界面の温度波および熱応力波に及ぼす影響を明らかにし、種々の耐熱設計データを得た。 2. 傾斜機能電子薄膜材料の熱衝撃強度評価 傾斜機能材料は、材料の設計段階で使用条件に合わせて構成因子を分布させて作られる。本研究では、基板材料層に電子薄膜層が完全に接着された薄膜に、レーザ熱衝撃が作用したときの一般化された熱弾性問題を、粒子速度の減衰を考慮して特性曲線法を用いて解析した。温度変化、熱応力及び電界の強さを長時間にわたって数値的に求め、さらに粒子速度の減衰係数や層の厚さ比が、温度変化、熱応力および電界の強さの時間経過に及ぼす影響を明らかにした。
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