異種材料の接合技術は様々な分野に応用されているが、その接合方法として、ほとんど接着剤を使用しなければならない。しかし、接着剤を用いた場合は、様々な問題が存在しているため、その代わりに新しい異種材料問の接合技術の開発が大変重要になっている。本研究ではこれらの問題点を解決するために、両被接合体の間に中間層を挿入し、この中間層を共振体ホーンに固定して超音波振動を行うという従来の接合方法と全く異なるアイデアを提案し、同種および異種高分子材料の接合を行った。 超音波溶着装置は、市販の超音波プラスチックウェルダを用いて、試料の保持加圧機構を自作した。この機構は試料ホルダ、スライドガイド、ひも、滑車、おもりにより構成されており、接合部に任意の荷重をかけられるように設計されている。試験条件としては周波数28kHz、振幅30μm、振動時間05〜6.Osec、圧力0.1〜0.5MPaである。 本年度ではその超音波溶着装置を用いて、主に接合条件と界面構造について重点的に検討し、次の結果が得られた。(1).接合時間と圧力は接合強度に大きな影響を与えるが、ある程度相関関係がある、通常、1〜2sec、0.3〜0.4MPaの条件下では比較的に良好な接合強度が得られることがわかった。例えば、PC/PMMA溶着体は接合応力P=0.3、0.4MPa、接合時間t=0.2sで、ほぽ全面的に界面接合が可能であり、その引張強度も母材の70%まで達している。(2).傾斜配分シートを利用した異種材料の接合において、相溶性の悪い異種材料の場合は約25〜50%の接合界面が得られるが、相溶性の良い異種材料ではほぼ100%の接合界面が形成されることがわかった。(3).溶着強度が低い場合は破壊がシートの界面で生じるが、溶着強度が高い場合ではワーク(母材)からの破壊が多いことがわかった。
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