研究概要 |
本年度は,吸引式流動性試験によりアルミニウム合金の流動長と流動時間を実験的に調査し,数値計算との比較により金型表面での熱抵抗値を求めた.その結果,金型表面での熱抵抗値を5〜6μm^2K/Wとした場合に,計算による流動長が実験結果に概ね一致することが分かった.また,Mg合金にアルミナ短繊維を混合した溶湯を作成し,流動長実験を試みる予定であったが,防燃を行いながらアルミナ短繊維を攪拌することが困難であったため,流動長実験は今後の課題とし,AZ91D粒子にアルミナ短繊維を混合した原料を作成し,これをMg合金射出成形機に直接投入して成形実験を行った.なお本年度は,アルミナ短繊維の混合割合を10mass%に固定し,成形品も厚さ2.5mmの平板状に限定した.Mg合金射出成形機内ではスクリュの回転により原料を輸送するため,これによる攪拌効果により,アルミナ短繊維はMg合金中に一様に分散されることが分かった.また,アルミナ短繊維混合Mg合金では,肉厚部でのヒケが生じにくかった.これは,アルミナ短繊維混合Mg合金の硬さが,通常材であるAZ91Dに比べて高いためと考えられる.一方,降伏点や引張強さに関しては,通常のAZ91Dとほとんど変わらない結果であった.この原因としては,アルミナ短繊維の混合割合が10mass%(体積割合では約5vol%)と低いためと考えられる。従って,今後は,アルミナ短繊維の混合割合を増加させた場合について継続的に検討を行う予定である.
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